一から学ぶブッダの教え-生きている人の苦を減らす-

全く何も知らないところからブッダの説いた苦を減らす教えを学んでいくブログです。

はじめに

このブログは2500年以上も前に人の抱える苦についての真実を明らかに悟ったブッダの教えを、少しでも多くの人に伝える事を目的としています。私も数年前までは、まるまる苦を抱える無明(無知)の凡夫でしたが、本物の教えに触れることで、明らかに自覚でき…

カーラーマ経

一区切りついたと言ったブログですが、とても大切な教えが抜けていましたので、今回は番外編です。 これはブッダがカーラーマ一族に教えた内容で、ブッダの一番弟子で智慧第一と呼ばれる阿羅漢のサーリプッタ尊者は、これが一番貴重な教えだと言ったと伝えら…

実践する仏教

一ヶ月ほど続けてきたこのブログも、大体一通りの事は説明できたのではと思います。まだまだ各論や詳しい話はありますが、内容があまり多くなると「一から学ぶ」人には読む気が失せると言う懸念も生じます。なので、このブログも今回の記事でとりあえず一区…

在家で出家する

こちらのターン・プッタタートの短文にもあるように、在家、つまり普通に家に住んで仕事の収入で生活する人でも出家に近い修行をすることは可能です。 そもそも悟るためには何をしなければならないのでしょうか。それは家から外に出る事ではない事は明らかで…

お酒を止める(○○を止める)

喜びの満足の威力から生じる欲望が苦の原因だと言うのがブッダの教えですが、それを聞いただけで誰もが「はい、わかりました」と言って大好きなお酒、食べ物、テレビ、音楽、性的な行為云々の喜びの対象を止められるならそれこそ「苦」労はありません。 「言…

取(執着)と滅苦の関係

苦の原因である取(執着)は、四つに分類されます。愛欲の満足への執着である欲取、見解への執着である見取、儀式儀礼などを含めた誤った滅苦の方法への執着である戒禁取、何でも「自分」あるいは「自分のもの」と認識する執着である我語取です。 この最後の…

考え(理性と妄想)

ブッダの教えには考えは苦*1、と言われることもありますし、熟慮して真実をありのままに見なさいと言われることもあります。一見、考えては駄目なのに熟慮するの?と矛盾している様に思えます。 この「考え」と言う単語がくせものなので、言葉の定義をしっか…

怒りを抑える実践方法(その2)

話を戻しますと、そもそも何故エレベーターで待たされて、これほど怒るのでしょうか。それは「少しでも早く目的の場所に移動したい」と思っているからです。何故早く移動したいのでしょうか。「一秒でも多く待ちたくない。」と思っているからです。何故そう…

怒りを抑える実践方法(その1)

怒っている状態は幸福な訳がなく、実際には地獄で、生きている間に死人となっています。 しかしそうは言っても怒りの感情と言うのはかなり素早いので、中々発生を抑える事が難しいものです。それに一度怒ってしまうと中々腹の虫が収まらない 、と言う人も少…

肉体の生存欲求と性欲、怒りの発生

人間だけでなく生物は自分の肉体を生き残らせることに極めて執着すると同時に、確実に迎える死に対応する目的として遺伝子を残すこと、つまり子孫を残すことにも執着します。したがって、生き残る事の次に強い執着は性に関する事になります。あり得ない仮定…

八正道(苦集滅道のうちの「道」)

ブッダは苦を無くすために、事あるごとにこの八正道(八支正道)を説いています。八正道は四聖諦の苦集滅道のうちの「道」である滅苦の方法です。 これは、下記に示す八項目からなります。 1.正しい見解(サンマーディッティ) 2.正しい志(サンマーサン…

四つの聖向聖果(滅苦の様相)、特に最初の段階である預流者

今回は苦が減った人とはどの様な人なのか、特に最初の解脱の段階である預流者について見ていきます。 大多数の人が属する、喜びに満足している人の世界である世間地(世俗の境地、ローギアブーミ)があります。そこから解脱の方向、つまり出世間地(世俗を超…

十二縁起の形で見る苦の集と滅

喜びの受を凄く欲しがること、つまり渇望が苦の原因です。渇望してもし喜びの受を享受できると満足の威力でまた渇望します。これはずっと繰り返され、繰り返すほどに症状は酷くなります。お金持ちほどお金に貪欲になる様なものです。今回は苦の原因と消滅の…

渇望(欲)による苦の発生原因と、苦の消滅の様相

これまで何故苦が生じるかは何回かに渡って説明してきました。特に内側の原因である受(感覚)に対する渇望があると、必ず苦になります。 例えばある男性が大層惚れ込んでいる女性が他の男性と二人でいて、楽しそうに話してクスクス笑っているのを見ればその…

苦とは(四聖諦)

一度ここで苦についてその分類をしてみましょう。ブッダは苦から逃れるためには四聖諦を必ず知る必要があると言っています。四聖諦とは苦集滅道の四つです。「苦」は苦とは何か、「集」は苦の原因は何か、「滅」は苦の消滅はどのようか、「道」は苦を消滅さ…

両岸の話、触(その2)

前回は内外(内側二つ、外側一つ)の原因が全て揃って苦が生じる事を説明しました。今回は具体的に内外の原因の例を見てみましょう。 例えば自分にとって凄く面倒で嫌な事を頼まれたり、自分が良いと思っているのとは違う方法で物事を進められたりすると、大…

両岸の話、触(その1)

前回の縁起は少し難しかったかもしれませんが、苦を減らすためにはとても重要な話です。今回はその縁起(因果)の中で特に重要な触と受(感覚)について見て行きたいと思います。 触とは何でしょうか。触は目耳鼻舌体心(六処入、六根つまり物理、精神的内部…

縁起(原因と結果:因果の法則)

これまで述べて来たように、人は無明(無知)が原因で真実を明らかに見られないので、煩悩に騙されて欲に目がくらんでいます。ブッダは苦しみを無くすために、苦しみが何故発生するのかと言う原因を探りました。例えば病気が発生するのを防ぎたい場合に、そ…

その事に傾く(人生には楽しいこともある、は執着の原因)

前回は五蘊の中の特に喜びの受について学びました。これは重要な事なのでもう少しこの事について見ていきたいと思います。 ブッダはある事について考えていると、その方向に心がどんどん傾くと言っています。例えば他者を恨んだり、復讐したり、加害する様な…

みんな受(感覚)の奴隷?

前回五蘊を学びましたが、それは今回の話をするためです。受というのは目耳鼻舌体心(これを六根とか六処入と言います)で感じたことから生じる感覚です。受にはそれを感じると喜ばしく思う「幸受」、痛みや苦みなどの感じると苦痛に思う「苦受」、壁に触っ…

五蘊

「自分」という執着を捨てることで苦が無くなるというのがブッダの教え(ブッダダンマ)だということをこれまでに見てきました。今回は何を「自分」と見ているかについてです。人間は色々なものを「自分のもの」とか「自分自身」と見ます。ゴータマブッダは…

欲望と正しい希望(正志、発心)

今回は欲望について少し詳しく見ていきたいと思います。何が欲望なのかを正しく知らなければ、欲を減らすと言っても難しいのです。悟った人でも食事をして、眠ります。これを見たら食欲と睡眠欲に支配されているじゃないか、という批判が当然考えられます。…

身勝手を減らす実践方法

ブッダの教えは聞いただけで効果を得ることは普通は中々難しいと思います。しかしブッダに直接教えを聞いた人はその場で悟りに到った人も結構居た様ですので、もしかしたら智慧の高い人だと前回までの話で何らかの悟りを得たかもしれません。しかしこのブロ…

欲望と執着

仏教では欲望、執着をなくす教えがある、と言うのは聞いたことがある方が多いと思います。実際その通りで、欲望、執着が完全に無くなればその人は最終解脱した阿羅漢(アラハン)です。欲望、執着は人の内部の苦の原因です。苦には外部の原因もあるので、苦は…

無我(その2)

前回「自分」とは何なのかと言う問題を考えてみました。「自分」と思っているこの心と身体は、無常のものなので時々刻々変化しています。今心で何かしたいと思っていても、少ししたらすぐその気持ちは変わります。例えばすごく喉が渇いたと思って水を飲んで…

無我(その1)

今回は三相の最後、無我について見てみます。まだたった数回ですが、そろそろ難しくなって来たのではないでしょうか。「理屈では何となくわかるけど、納得できない。」「どうも騙されているような気がする。生きていて楽しいこともある。」と思う人は多いの…

苦(その2)

生老病死を超えたと言う事はブッダは肉体が永遠に生きる方法を見つけたと言う事でしょうか。ブッダならその気になれば可能だったのかもしれませんが、そうではありません。実際にゴータマブッダの肉体(五蘊)は亡くなりました。しかし、ブッダの教えによっ…

苦(その1)

前回は無常について見てみました。もう少し詳しく見ることが出来るのですが、まずは三相の全体を掴むために次に進みましょう。今回は無常、苦、無我の三相のうちの苦について見てみます。 皆さんがこれまで生きてきた経験上で、おそらく一日中何ら不快な事が…

無常

ブッダの教えは色々ありますが、まず最初に三相(無常、苦、無我)を学びましょう。今回はこの三相のうち、この世の有り様を示す無常についてです。この無常はブッダが生まれるきっかけになったとも言えます。 人は生まれたときから必ず変化し続けていて、若く…

悟るまで

シッダルタ王子は季節に応じた三つの城を作ってもらったりと、とにかく手厚く遇されて育てられた様です。 しかし、王子は誰でも必ず老い、病み、死ぬことを見て、この世が苦しみに満ちている事を知ります。それを何とかしたいと切実に考えた王子は、ラーフラ…