一から学ぶブッダの教え-生きている人の苦を減らす-

全く何も知らないところからブッダの説いた苦を減らす教えを学んでいくブログです。

実践する仏教

 一ヶ月ほど続けてきたこのブログも、大体一通りの事は説明できたのではと思います。まだまだ各論や詳しい話はありますが、内容があまり多くなると「一から学ぶ」人には読む気が失せると言う懸念も生じます。なので、このブログも今回の記事でとりあえず一区切り、と言う事にしたいと思います。

 ブッダのダンマは「学ぶ」ものですが、この学ぶは、学校や塾で行う勉強とは本質的に異なるもので、「実践」が一番大切だとご理解頂きたいと思います。つまり、ピアノのレッスンと同じで「自分で体得」しないと意味のないものです。

 学校の勉強は頭で理解すれば納得あるいは体得しなくてもテストの点数は取れます。しかし、例えばピアノは何年習おうが本人が努力して練習して体得し、身に付けないといつまで経っても上達しません。

 ブッダの教え、つまりブッダダンマ( 滅苦のダンマ)もピアノを弾くのと同じで、体得する必要があります。つまり、欲望を減らし、執着を減らし、我を減らすことで、素早く発生する感情を制御、抑制できる様になり、あらゆる「自分」と言う感覚を減らす事が必要です。

 もう少し短く言えば、あらゆる身勝手と所有の概念から生じる全ての苦を減らす事がブッダの教える、目標とする境地です。欲を離れて心がいつも落ち着いている状態になると、心を熱くさせる焦燥は無く、常に心に安らぎがある高級な幸福を得られます。

 そのためには、いつも自分の心に目を向けて、感情が生じる度にその原因を深く探る努力、つまり練習をして欲しいと思います。感情には必ず外部の環境(外側の原因)に対して「こうなって欲しい」「自分の都合通りになって欲しい」と言う欲望(内側の原因)が隠れています。

 喜びの感情も良くないのですが、最初は怒りや嫌悪などの不愉快な感情の方が自覚しやすいと思います。不愉快な時にいつも自分の心の中の身勝手な考えを見つけて、苦しくてもそれを改めて、減らします。いつも自分を正当化して甘やかす考えを、心の中から追い出します。

 罪を犯したのに、反省もせず「これくらいは良いだろう」と言う様に考えるのは、実に毒になります。どうか、愛情をもって親が子供を厳しく躾(しつ)ける様に、自分の心を躾けて欲しいと思います。

 この様に「実践」するのが仏教です。自分も含めた全ての生き物に決して意図的に加害しない心を、常に保ちます。譲って、助け、思いやって下さい。本当に身勝手が減ったとき、全てのものに実体はない。と見えて、何も欲しいもの、なりたいものはないと思えるはずです。そのとき貴方の心は落ち着いて、ずっと続く平安を得られます。それが涅槃です。

 涅槃は遠いものではありません。貴方のすぐ身近にある、どこにでもあるものです*1。このブログが皆様の苦を少しでも減らすことに繋がればそれ以上の事はありません。

   じん

*1:ブッダは涅槃はどこかの場所に探しに行って見つかるものではない、この2m足らずの身体の中にある、と説いています。