一から学ぶブッダの教え-生きている人の苦を減らす-

全く何も知らないところからブッダの説いた苦を減らす教えを学んでいくブログです。

苦(その2)

 生老病死を超えたと言う事はブッダは肉体が永遠に生きる方法を見つけたと言う事でしょうか。ブッダならその気になれば可能だったのかもしれませんが、そうではありません。実際にゴータマブッダの肉体(五蘊)は亡くなりました。しかし、ブッダの教えによって、当時何千人もの人が生老病死を越えていたとあります。では彼らは不老不死になったのでしょうか。もしそうならその人達は今でも生きている事になります。言うまでもなく事実はそうではありません。
 生老病死を超えた、と言うのは生老病死にまつわる苦しみを無くす方法を発見した、と考えるのが正しいでしょう。
 な~んだ、とがっかりしないで欲しいと思います。生老病死にまつわる苦と言うのは普通の人が普通に生きていたら決して逃れられないものです。それを超えたのですからこれは本当に偉大な発見です。実際には「最高の真実」です。
 さて、「生きることは苦」に話を戻しましょう。人は誰でも普通は死にたくありません。誰でも自分にとって良い状態が永遠に続いて欲しいと思うものです。男性だったら地位も財産も名誉もあって、美人が何人もいるハーレムで若さを維持したまま暮らしたいとかでしょうか。女性なら愛する人と結婚して幸せな家庭を築き、可愛い子供達に囲まれて何不自由なく暮らしたいとかでしょうか。
 もちろんこう言う望みには個人差があると思いますが、「望ましい状態が永遠に続いて欲しい」と言う希望は全員に共通すると思います。
 しかし待って下さい。この世で生じる全ては変化する、つまり無常と言うことを前々回に見ました。無常ですからさっきの「望ましい状態が永遠に続いて欲しい」と言う希望は決して叶うことが無いのは明らかです。人に限らず生物は全て基本的には自らの命を止めようとはしません。生き続けようとします。無常で必ず死ぬのに生き続けようとする、と言うのは必ず叶わない望みをずっと抱き続けると言う事になりますから、これが楽しい訳はありません。つまり「生きることは苦」なのです。
 この世に生きている人で、「ああなって欲しい、こうなって欲しい」と思って、その全てが期待通りになる人はいません。どんな大金持ちであろうが、権力者であろうが「全てが期待通り」で「その状態を維持する」というのは不可能なのです。
 そんな事はない、楽しい事もあるよ、と言う主張があるかもしれません。しかし、結論から言うと実はその楽しみへの期待が苦の原因です。楽しむことが大好きなので、苦しむことになっています。これは理解しにくい話と思いますので、次からもう少し詳しく説明していきます。