一から学ぶブッダの教え-生きている人の苦を減らす-

全く何も知らないところからブッダの説いた苦を減らす教えを学んでいくブログです。

苦(その1)

 前回は無常について見てみました。もう少し詳しく見ることが出来るのですが、まずは三相の全体を掴むために次に進みましょう。今回は無常、苦、無我の三相のうちの苦について見てみます。
 皆さんがこれまで生きてきた経験上で、おそらく一日中何ら不快な事がなく、不安や心配な事も一切無かったと言う事はまず無いのではないでしょうか。一日あれば大抵は何かしら不快な感情が生じるものです。
 例えばのどが渇いたのにすぐに飲み物を飲めない状況だとか、外でゴミを捨てようとしたらいくら歩いてもゴミ箱が無くて困ったとか、銀行のATMで長く待たされてイライラしたとか、駅で自動改札の向かいの人に先を越されたとか、上司に気に入らない仕事を頼まれたとか、シャワーのお湯が中々温かくならないとか、暑いとか寒いとか、お金がないとか好みの異性に好かれたいとか、ほんのちょっとした不満すら一切無い一日と言うのは休日でもかなり珍しい筈です。
 結論から先に言うと、生きることは思い通りに行きません。つまり苦なのです。そう言うと「そんな事はない、たまに良いことやそれに伴う喜びがあるから人生は良いものなんだ。生きてるって事は素晴らしいんだ。」と言う人も多いかと思います。
 しかしその話の説明は少し長くなるのでここではとりあえず保留させて頂きます。もう少しこのまま話を続けさせてください。ブッダの悟った真理を理解するには、上に示した様な不満が何故生じるのかを良く考える必要があるのです。ブッダは人は何故一人の例外もなく皆老いて病み死ぬのか、これを何とか出来ないものかと思い、真剣に、必死に生老病死を越えるダンマ*1を探しました。「生きることは苦」というのは、そのブッダが悟ったとき、つまり生老病死を越えるダンマを発見したときに見えた真理なのです。
 人は必ず死にます。長く生きていれば必ず老いて死にますし、病気や事故で肉体の寿命を全う出来ずに死ぬ人も大勢います。普通の人なら誰でも死にたくないと思っているのに、そんな望みとはお構い無しに、必ず死にます。この避け様のない現実を何とかしなければ生老病死は超えられません。
 次回に続く

*1:ダンマとは「全て」という意味、ここでは方法と解釈しても良いです。